ビタミンなどの栄養を摂って病気が悪化したなんてことは聞いたことあるでしょうか？
通常は栄養を摂ると病気は緩解し、快方に向かうことが一般的だと思いますが実は過去にビタミンの摂取でがんが増えてしまったという残念な結果を招いてしまった試験があります。
この試験はフィンランドで実施されたことから通称「フィンランドショック」と呼ばれ、倫理的問題から途中で中止されたほどです。
恐ろしい結果を招いてしまったフィンランドで行われたビタミンの栄養介入試験とは一体どんなものだったのか…。これを読めば食事の大切さをより実感していただけることでしょう。
背景
1994年にフィンランドで男性喫煙者29,000人を対象にした大規模な栄養介入試験が行われました。
どういったものかというと、合成のベータカロテンとプラセボ(疑似薬)を与えるグループに分けて5～8年間に肺がんになる人を追跡したものです。
野菜の摂取量が多い人が、がんになりにくいことは明らかになっており、その中でもベータカロテンの摂取量が多いほうががんになりにくいという結果もあったので、当然のことながらこの栄養介入試験はベータカロテンががんへ何らかの良い影響を与えることを前提として実施されました。
ベータカロテンとは？
ベータカロテン(βカロテン)とは体内ではビタミンAに変換されて作用することから皮膚や粘膜の健康を維持する役割もあります。ただし、全てがビタミンAに変換されるわけではないので、両方とも十分に摂取することは重要です。
βカロテンが多く含まれる代表的な食材としてはニンジン。その他にも緑黄色野菜に多く含まれ、脂溶性であることから炒め物やオイルドレッシングをかけたサラダで摂るほうが効率的です。
βカロテンは植物のフィトケミカルの一種であるので、強い抗酸化作用があります。ビタミンAも抗酸化ビタミンとして代表される一つなので、体を酸化から守る大切な栄養素だと考えておいてください。
「体が錆びる=がんになりやすくなる」ということでもありますので、抗酸化作用のある栄養はがん予防にも重要です。
実験の結果は…？
この介入試験で使われたのは合成のβカロテンですので、野菜をその分多く食べたという訳ではなく人口合成のサプリメントで補ったということです。
結果はβカロテンを与えたグループのほうがプラセボ群よりも肺がん罹患率が18%増加したというものでした。にわかに信じがたい結果から、アメリカでも同様の試験が行われましたが結果は同じ…。
なんとβカロテンは肺がん罹患率を増やすという思わぬ結果になったのです。
この試験は結果的に肺がん罹患率を人為的に生み出すこととなるので倫理上の問題から途中で中止されたほどです。この結果は世界中を驚かせ「フィンランドショック」と呼ばれるようになりました。
読者の方で喫煙習慣がありビタミンなどのサプリメントを飲んでいる人はいませんか！？おそらくいらっしゃると思いますが、このフィンランドショックから我々が日々口にする食事の大切さを改めて考えていきましょう。
結果から分かることとは？
米国がん研究財団と世界がん研究基金が各国の500もの研究論文を元に作られた「がん予防と食生活等の関連」では、野菜や果物を多く食べる人は肺がんのリスクを減らすということが書かれています。
つまりがん予防はβカロテンだけが働いているわけではなく、野菜や果物持っているその他のカロテン類や様々な生理作用性成分が相互に複合的に働いているということです。
喫煙者がβカロテンのサプリメントを服用することで肺がん罹患のリスクは上昇します。しかし、野菜や果物から十分にβカロテンを摂ることは肺がんリスクを低下させます。
このようにビタミン剤から摂るビタミンと、食事から摂るビタミンは大きな差があります。そしてそれらがどのような作用をしているのかまだまだ解明されていないものも多いのです。
栄養や健康のベースはあくまでも食事であり、生の野菜や果物をベースとした食生活を僕個人はおススメしています。
「Plant Base Raw Whole Food」＝「植物ベースの生の丸ごと食材」
もちろん野菜や果物の栄養価も年々減ってきており、食事だけでは十分に栄養が補えないことも多々あります。しかし、サプリメントを摂っているからと食事を疎かにせず、食事をしっかり摂っているからとサプリメントを否定せず。
食事のバランスはもちろんですが、これからは食事のバランス&サプリメントとのバランスの両輪を整えていくことが必要となってくるかなと思います☆
ほなね！
